介護職とは、受容と共感が必要ではなかったのか。異なるものを良しとし、批判やクレームを受け流す。或いは関わらない。そうしたスタイルこそ、ネット上でも発揮されて然るべきだと思うのだが、現実は違うらしい。
数年前と比べて、Twitter上における介護職同士の関わり方が大き変わってきている。以前は、誰でも何でも情報を共有できていたし、色んな前向きの意見も言えていたものが、状況が変わり、次第に大きく割れてきている感じを受ける。介護業界そのものを批判するグループ。愚痴り合いを是とし、その共有をするグループ。異端な風を起こし、何かを変えていこうとするグループ。日々の様子を端的に綴るグループ。気に入ったこと、趣味が同じでジャレ合うグループ。介護職を肯定的に見てエールを送ろうとするグループ。互いのグループにあまり関わろうとしないところも特徴の一つだ。
そんな中で、異端的なものや前向きな意見を容易に叩き合うグループが発生している。主に愚痴り合いや介護業界に批判的な人々が中心になっているものだが、その塊(クラスタ)には中心があって、そこで意見を集約しあっている。Twitterはそんな役割にはもってこいのツールだろう。夢を語れない。新しいことを呟けない。他者に対して受容がない。前向きに発言できない。これは異常な事態だ。
こうした異常な事態が、ネット上の動きで終わるだけであれば良い。実は、それ以上の弊害を引き起こしていることが明らかとなっている。それは何か。
介護業界に対する求職率の低さ。それに加えて、深刻な人員不足である。
処遇の悪さと職場環境の悲惨さ、ハラスメントの横行などにより、規模を問わず様々な施設が短期間のうちに閉鎖に追い込まれたり、その業務を制限されたりする状況が続いている。訪問介護サービスも然りで、この種のサービス自体が消滅する危険性だって浮上している。これは早急に改善を要するものであり、ネット上の動きは「これから」端を発した事は間違えようのない事実だ。しかし、現在はそれだけではなくなっている。
以前、自治体との会議で出た意見であるが、ネット上で介護職から発せられる大量の愚痴や悲鳴を聞いた中年世代が寄り付かなくなった事、そして、介護業界を離れて他職種に行く率が高いことが重なり、中年世代でも大幅に介護業界への求職率が下がった事などが挙げられる。それに加え、そんな「親世代」が、子供たちに介護業界への就職を避ける様に言い含めている事、それに合わせ、進路指導の先生たちも「介護専科」の学生たちにでさえ介護業界への就職を避ける様に指導しているとのことであった。
昨年は、介護業界に対する求職率の低さが非常に厳しい年であって、これを何とかしなくてはいけないというのが、自治体の各担当の一致した意見であった。皮肉な事に、介護業界以外で働いている方を対象としたイベントを一年かけて自治体主導で企画し、多額の資金を費やして実施した結果、悲惨な結末となった反省会議の末に得た結論がこれであった。つまり真のターゲットは、真の原因は介護職自身であったのだ。
イメージ。これこそが、「現実」よりも先行して世論を大きく動かしていた。
そして、この業界はイメージ戦略や広報には殆ど力を入れていない。入れる必要がなかったからだ。今までは、求人をかけると何某かの人がきた。売り上げは介護保険によって保証され、収入の上限が決まっているから、売り上げ増に繋がる様な広報戦略だって必要なかった。
しかし、今や大量の「負のイメージ」拡散によってでも、個々の施設や業界自体が倒産と崩壊の危機に晒されている。今後はそれを上回るイメージ戦略の展開が必要だ。それも、個々の施設や事業所単位で。市町村や県単位で。
もはや、介護業界の危機を救えるものは介護職と業界自身である事がはっきりした。逆に言えば、介護職自身が介護業界を終わらせる事ができる。もちろん、環境の改善も急務であるが、介護施設全てが悲惨な環境にあるわけではないし、業界内での転職は、他業種に比べると容易である。加えて、その他の業種と比べても給与額は遜色ない。さらに、今では色んな処遇加算のお陰で、以前よりも介護職の給与体系は改善されている。私の場合、他の業種にいて最も最低だった頃の給与額と比べて、約10万円ほど上がっている。
そんなこんなで、私自身もTwitterに関わる事が少なくなってきている。私もイメージ戦略に貢献しなくてはならない立場の一人だが、一旦Twitterから距離を置いて状況を見定めようと思っている。ここで余計な火傷を負ってもしょうがない。Twitterよりも、まずはFacebookで何ごとかを始めている。小さな動きであるが、少しでも前向きな動きに貢献できればと思っている。
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