2020年1月22日水曜日

介護福祉士の試験の変遷について。

 介護福祉士は国家資格であるが、その受験資格は今まで紆余曲折があって変わってきた。その流れにあって、私は今日のような難しい状況で試験を受けずに済んだ方である。しかしながら、その投資には結構なお金を使った。今と変わりがないくらいだ。

当初、介護福祉士は実務経験三年だけで受験資格が得られた。国家資格の中でも「関門」が低い方の資格ではなかっただろうか。この時代は、筆記試験と実技試験が行われている。この筆記試験と実技試験は模試があって、各専門学校と介護福祉士会にてその受験ができた。今でも、模擬筆記試験は各種の専門学校や介護福祉士会主催での模試で受験ができる。

実技試験は免除講習があり、一応、講習後に試験があった。それに合格することで、晴れて実技試験免除となるわけだが、確か3年間の有効期限があり、それまでに試験に合格する必要があった。

その後、ヘルパー1級と同等の資格となる介護職員基礎研修が創設され、これが後の実務者研修の発端となる。この研修は「資格」であり、現在の実務者研修の半分程度の費用で受講が可能であった。内容には介護計画の作成や基本的な知識の習得が含まれ、ヘルパー2級で培った経験と知識のおさらいが出来た。スクーリングとレポート提出が、基本的な学習手段であった。

さて、この介護職員基礎研修、創設当時は何も指定が無かったものの、後に現在の実務者研修と同じ位置づけが計画される。すなわち、その研修の修了が介護福祉士試験の受験資格となったのである。ただし、これは一年も満たないうちに撤回され、その期間中にこの研修を申し込んだ人たちは、取り越し苦労をしたことになった。
おまけに、介護職員基礎研修は実技試験の免除にはならなかったため、結局は実技試験免除講習と基礎研修の費用を足すと、ちょうど今の実務者研修程度の費用となった。

その後、実務者研修が介護職員基礎研修に代わって創設された。移行期間を経て、2017年からの介護福祉士試験の受験に当たっては、実務者研修の修了が義務づけられる。研修の費用は、介護職員基礎研修の2倍相当。ただし実技免除があるため、費用額は先述したとおりとなった。内容はケアマネに必要な知識の基礎的なものを含めた多角的なもので、これに医療的ケアを加えた内容となった。研修中には試験があり、内容的には以前の介護職員基礎研修よりもレベルアップしている。

私も一度、中古テキストをAmazonで購入して内容を確認したことがある。非常に分かり易くて良いものだと思った。実務者研修は見聞でしか知らないのだが、スクーリングとレポートの提出があり、定期的なテストもあると。この辺は介護職員基礎研修と変わりがないか。

 こうして、介護福祉士の試験は受験がより一層難しくなっているのだが、今後はどうなるだろうか。まず、専門学校ルートの試験義務づけについては、議論が百出した挙げ句に先送りになっている現状から、もはや試験の義務づけは難しいだろうと見る。
また、実務者研修も見直しはされず、現行のままで行くはずだ。なぜなら、国は初任者研修に代わるもっと簡易な入門資格を作ると言っているからだ。

ただし、介護福祉士の国家資格としての地位は危うくなる可能性もある。受験者数が減少すること、それに資格取得後も賃金の変動があまりないことを考えれば、今後もなり手が増えることは考えにくい。つまり、介護福祉士としていなければならない理由は、あまりないのである。そうなってくると、介護福祉士は別の資格に置き換えられる、または統合される可能性だったあるかもしれない。今後の受験者数の動向に注目したいところだ。

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