選挙戦は、今年初めから火ぶたが切られていた。
落下傘候補の場合、何故この選挙に出たのかの真意はよく分からないが、私が思うに、恐らくは「ワンマン的な性格と今後の利権絡みの問題」から、首長の座を狙って、しばらくの間は安定した自分の王国を築こうと考えているのではないかと考えている。町の中央部の土地をかなり買い込んで、再開発の準備をしているとの話も上がっているから、文字通り「自分の町」を作ろうと考えているのだろう。企業の跡継ぎ問題も解消しており、恐らくは政治の方でも同様のことだろうと考えられる。
一方で現職の方だが、最初から出馬が予想されていたわけではなかった。突然、という言葉がぴったりの通り、予定になかったものだった。話によると、家族の政治生命と基盤を定着させるために再度選挙戦に臨む、といった話がもっぱらであった。しかし、私は別のことを考えざるを得ない。
確かに、今回の選挙戦に勝つことは、現職にとってそうしたメリットもある。だが、真の狙いは現職本人にあるのではなく、周囲の思惑が大きかったのではないかということだ。
極端に言おう。現職が勝利した場合、町の各種産業界での利権や体制は継続される。言ってしまえば安定したまま何も変わりがない。だが、ワンマン思考/権力集中志向の強い落下傘候補が首長になった場合、そうした体制はどうなるのか・・・ましてや縁なども薄い関係だというのに・・・。そして、どちらの候補も今回が最後のチャンスでもあるなら、なおさらのことではないか。
こうした思惑が、今回の選挙戦にはモロに出ていた。
落下傘候補の場合、浮動票や様子見票の獲得に全力を挙げていた。多種多様なメディア戦略を動員し、この町に明るい未来を約束すると喧伝していた。講演会へのお誘いもしつこいくらいだった。動画サイトを活用した戦略をこの町で行ったのは、おそらくこの候補が初めてである。
選挙戦の狙いは明確であり、背景を知っていれば、少し苦笑して見ていられた。しかも、自分の企業スタッフを総動員していた。講演会は「強制動員」の参加がよく見られ、先述したとおり、この人が首長になったら、この町に人たちにどんな動員をかけるのだろうかと不安を覚えるような気持ちを持った。
一方で、現職候補は殆ど動かなかった。というより、真新しい選挙活動は何もしていなかったのだ。選挙活動は、するにはしていたが、外から見ると、何をしているのか分からないくらいだった。すでに組織票への根回しは済んでいた、というより、周りから担ぎ上げられ、確証を得た上で立候補したのだろうから、そこまで慌てたり、何かをする必要が無かったのだろう。講演会のお誘いも、やっているのかどうか分からないくらいだった。
落下傘候補の場合、最後まで全力であった。
2014年10月4日土曜日
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