2007年2月12日月曜日

ベトナム戦争を決した勝利の道

 1961年から1975年にかけて北ベトナム(以下北越)が行った非正規部隊(以下ベトコン)によるテロやゲリラ戦は恐るべき効果をもたらした。

具体的には、南ベトナム(以下南越)南部に対する北越のゲリラ活動は軍隊だけでなく、住民とりわけ農民に対しても行われ、彼らを恐怖のどん底に陥れただけでなく南越全域にわたり治安の不安定化を常態化させることに成功したのである。

更に都市部においても爆弾テロや要人襲撃などを果敢に行い、下は地方の農民から上は政府要人に至るまで常に恐怖の揺さぶりをかけたのである。

このため戦争の全期間を通じ、アメリカ軍や南越政府軍はかなりの部隊を南越中部以南に拘置せざるを得ず、前線では常に兵力の不足と大規模な戦闘を長期間行う事が出来なかったのである。

では、北越がこの様な非正規戦を大胆かつ広範囲に、しかも終戦までの間仕掛けられたのはなぜか。

それは二本の兵站線、ホーチミンルートとシアヌークルートの存在である。

ホーチミンルートとは北越からラオス、カンボジアの国境線を抜けて南越南部~サイゴン近辺に至るベトコンの陸の補給路である。一方シアヌークルートとは、北越から海上を経てサイゴン南部のメコンデルタ(後にカンボジア南部へ移動)~サイゴン近辺に至るまでの言わば海上輸送ルートである。

特に前者は単なる補給路ではなく弾薬物資の集積所や病院、各種施設を備えた言わば線条の前線基地であった。

双方の輸送量は戦争の全期間を通じて6:4の割合だったと言われる。

北越ではこの二本の大動脈を戦争初期から整備しており、ベトナム沿岸部を主戦場とする北越正規軍の助攻役として、ベトコン部隊の南部への展開を進めていた。

一方アメリカ軍や南越政府軍でもその存在に気付き、これを潰すべく戦争の全期間を通じて大規模な空爆や、70年代に行われたラオス・カンボジアへの越境攻勢などを行って潰しにかかった。

しかしアンナン山脈の山岳地帯、鬱蒼と茂るジャングルはこうした空爆の効果を最小限に止どめた。更に北越の土木修復力は人海戦術を使って短時間で破損を回復をさせる事が出来た。更にラオス・カンボジアへの作戦は国内世論の反感から至極短期間でしか行えなかった。

こうしたことから北越はベトコンへルートから無尽蔵に物資を補給し、部隊が消耗すればルート付近で再編するなどして、自由気ままに南越全域を攻撃出来たのである。

文字通り勝利への道であった。

【追記】
ホーチミンルートが頻繁に空爆や陸上からの攻撃に晒されていたのに対し、驚く事に海上輸送メインのシアヌークルートはそこまで攻撃を受けなかった様だ。

それはベトナム中部沖に第七艦隊を常時貼り付けていたアメリカの(まさか…)の心理の裏を見事にかいた作戦だったのだ。

しかし後に陸揚げ場所をメコンデルタ地区からカンボジア南部へ移さねばならなかったのはさすがにアメリカの河川警備部隊が効果を発揮していたためである。

更にアメリカ軍のカンボジア侵攻の目標の一つには、こうした輸送路を押さえることであったから、北ベトナムとしても、ここに60年代後半からアメリカ軍に長期間居座り続けられていたら相当困ったはずである。

結果は同じであれ、戦争は長期化していたことは間違いないだろう。

2007年2月11日日曜日

海軍『誰にも言えなかったんです』

 上手くいった、成功したと報告した後、実はそれがかなり失敗だったことを知り、なかなか言い出せない内に事はドンドン進んでますます言い出しにくくなった。結果として最後に失敗したことを告げたが最悪な結果を招いてしまった…ということは誰にでもある事ではないだろうか。

では国家が、軍がそんな失態を招いてしまったらどうなるのか…そんな実例が太平洋戦争中に起きたのだ。

1944年十月、W・ハルゼー大将率いる第38機動部隊が台湾を襲った。十隻以上の空母を基幹とするこの艦隊は、マリアナ海戦後いかなる海上に存在するどの国の艦隊をも遥かに凌ぐ最強の打撃力と防御力を持った艦隊であった。

その際日本海軍では、かねてから日本近海での決戦を想定した大規模な航空隊を南九州や台湾に展開、その時を待っていた。その数は優に三百機を越えていた。そして十月十二日、日本は十五日までの約三日間に渡る航空機による攻撃をアメリカの艦隊に対して連続的に行った。

日本にとって、この攻撃は海軍だけでなく陸軍の航空隊も参加しての、文字通り『総力をかけた』戦いであった。

日本側では連日の攻撃で帰還後に報告される戦果は華々しいもので、それを総計するとアメリカの第38機動部隊は空母を全て失い、ほうほうの体で逃げ帰っているものと判断された。そしてその戦果はそのまま国内で大々的に宣伝され、天皇陛下からのご褒めの言葉を戴くなどお祭り騒ぎにまで発展したから大変な事になった。

更に最終日の十五日、それを裏書きする様に残敵と思われるアメリカの巡洋艦と少数の護衛艦船を日本近海で発見。日本海軍では直ちに『残敵掃討』を発令したが、翌日再びアメリカの機動部隊が日本近海に存在していたという報告を受けて追撃を中止した。

問題はここからである。海軍は正式に陸軍にこの事を知らせていなかった。

つまり言えなかったのだ。

海軍としては、陸軍ともに多数の犠牲を出し、更に国内でお祭り騒ぎにまで発展したこの戦果が実は誤りでしたとは、おいそれとは言えなかったというのだ。

原因はパイロットの能力不足や偵察能力の不備と、戦果確認を徹底して怠ったためだが、それは後々判明した事である。

しかし陸軍ではその戦果を元にフィリピンでの決戦を企てていて、兵力の転用や輸送、更には作戦を実行に移してしまっていたから目も当てられないこれから起こる悲劇の結末は自ずと明らかだった。
それは明らかに亡国を招いたのである。

2007年2月10日土曜日

白頭山と東北工程

中国東北部の歴史を巡って、中国と韓国の歴史論争が続いている。

報道などであまり話題にはならないが、ネットや学会などでは竹島に負けず劣らず激しく火花を散らしているのだ。

そもそも東北工程とは中国東北部~朝鮮半島北部にかけて存在していた渤海、高句麗、扶余などの国家の歴史を中国に帰属させるというものだ。そのために国を挙げての歴史調査から学説の確定にいたるまでの作業の事を指す。

これに対して直接国境を接する北朝鮮ではあまり異議を唱えていないが、韓国ではこうした動きに『高句麗を始め渤海や扶余などの国家は我らの歴史的範疇だ』と激しく異を唱えているのだ。

こうした論争は学術的には民族の帰属問題の他、歴史的事実をどの様に捉えるかという問題となるが、実利的に見ると『歴史的領有権』という厳然たる国家利益に変わるのである。

これを過去の学術上の問題と捉えてはならない。現在日本でも中韓と揉めている竹島や尖閣諸島の領有問題は、こうした論争の延長線上にあるのだ。

中国と韓国で言えば北朝鮮の領有帰属がそれにあたる。

韓国にとって一番のマイナスは歴史的事実を記した書簡が大変乏しく、保管状態もあまり良くない事である。
よって日本や中国との歴史的事実の争いは常に相手側の歴史記録を頼りに学説を立てねばならない事である。

そうした中で、北朝鮮や韓国など半島の人々の発祥の地とされる白頭山がほぼ完全に中国の歴史に組み込まれようとしている。

白頭山は当然北朝鮮の領有地もあるが、大部分は中国側が掌握している。その結果、最近中国では次期冬期五輪の候補地としてこの地を取り上げ、『白頭山』の名称を完全に中国側の呼称である『長白山』という呼び名で国際的に広めつつあるのだ。更には『長白山ブランド』なるものも作り出した。

それだけではない。吉林省にある白頭山周辺の学校の名称を長白山に統一させた上、白頭山頂上にあった韓国系ホテルに立ち退きを求めるなど、次々と現実的な行動を取り出している。

こうした動きに対し、韓国政府内では経済や北朝鮮問題を中国にかなり依存している為にこうした関係にヒビが入るとの懸念のせいもあって、なかなか対抗策を打ち出せないのが現状である。

私的に言えば、この問題は中国の勝ちであるがどちらの歴史にも属さないと思う。まだまだ未解な部分もあるが民族的にも政治的にも別々の国家だからだ。

日本もこうした問題を注視しておく必要ありだ。

従軍慰安婦問題に関する韓国の動き

凄まじい勢いである。

韓国が日本に対して提起している『従軍慰安婦問題』が一つの山場を迎えようとしている。

従軍慰安婦とは、前大戦(太平洋戦争)の際に、日本軍が占領していた東南・極東アジアの地区から、そこに住んでいた若い女性を『強制連行』して軍隊の慰安所(性宿)へ連れて行き、将兵の性のはけ口とされた方々のことである。

韓国ではこの問題で日本に対する謝罪を強硬に要求して来ている。

最近では日本に直接言っては効果が無いとみるや、アメリカの下院議会へこの問題を取り上げてもらう様に前議長へファックス二万通を送りつけたり議会工作を盛んに仕掛けていた。

その甲斐あってか外交部の小委員会で提起されたことを皮切りに、近々下院議会でもテーマとして議論があるかないかの所までこぎつけている。(日本に対する非難決議は見送りが続いている)

いつどこの戦争でも、性欲処理をサービスする女性は出征する軍隊にはつきものであった。例えば1813年に行われた、ナポレオンによるロシア遠征の際でもそうした記録が残っている。水商売とは言い方は悪いが、これだって立派なサービス業である。

しかし韓国が問題としている点はこうした『自発的な』ではなく、日本軍が行ったのは『有無をいわさない強制的な』という点であり、現在でも保障や謝罪を求める方々の声が絶えないのだ。

こうしたことから日本政府では陰日向から保障に関する援助を行っては来ていたが、どうやら最近では色んな異論が出て来ている。

一つは従軍慰安婦を偽り嘘の名乗りを挙げている女性が中にはいるのではないか、という前々からの疑問だ。

実は韓国や中国の売春業者からの売込みがあったことも判明しているし、保障目当てで名乗りを挙げているのでは…という話だ。

もう一つは現在中韓では凄まじい経済発展と同時にナショナリズムの台頭が起きている。そのため古来からの文化先進国としての威厳を保つ為に、更に政権維持を図るためにこれを利用して、日本に何とか頭を下げさせたいのではないかと言う疑問だ。何しろあちらでは『恨み末代まで』の世界だし、最近改憲で沸く日本は右傾せずに大人しく…と言う話だ。更に日本は悪者として都合が良い。

実際に韓中では政治の為に反日を掲げた。今でもそうだ。

こうした動きは韓国が自国の拉致問題を黙らせたと様に、本質からずれた動きが大きいのではないか。

謝罪は必要だが、それ以上に見極めも必要だと思う

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